政府の住宅施策の軸足は住宅の量的確保から質的拡充に移っている。具体的にみると、2000年には「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行され、すべての新築住宅については引き渡しから10年間、建物の構造に関する部分について性能保証が義務付けられた。同時に、性能表示制度が採用され、住宅の性能に関する分野について全国一律の基準で第三者の専門機関が評価して表示する制度も実施されている。性能保証と異なり、こちらは任意の制度。第三者機関に依頼するには、1戸当たり10万円から20万円程度かかるが、その性能表示によって他社物件との差別化を図ることが可能になる。分譲マンションでは最近は、ほとんどの物件で性能表示が行われるようになっているので、性能表示すること自体での差別化は難しいものの、その内容をアピールすることは可能になるはずである。たとえば、免震構造などに力を入れている分譲会社では、耐震等級の高さを強調できる。毎年のように大きな地震が発生するわが国においては、この耐震性の高さを強調することによる差別化効果は小さくない。しかし、耐震強化を図るには、壁を多くする必要があり、耐震等級を高めるとどうしても窓などの開口部への制約が出てくる。このため、耐設等級は建築基準法並みのレベルにとどめ、その分、開放感、日当たり、風通しなどを重視するという方向性もあるだろう。そうした点を明確にすれば、自社の商品の特徴を消費者にアピールしやすくなるのではないだろうか。どういった方向であれ、自社が分譲する物件のコンセプトを明確にして、それを消費者に積極的にアピールすることが重要になっている。一方、注文住宅や建売住宅においては、まだまだ性能表示制度を利用している物件は少ないのが現実。このため、性能表示を行うだけでもある程度の差別化要因になるし、表示内容についてもマンション同様に明確な特色を持たせることで、アピール度はさらに高まることになるだろう。
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