「超高層は最後の再開発です。建てたら必ず、周りに迷惑をかけ続けます。日陰、強風、電波障害……住人の便利を奪っているんです。超高層にするのは、あくまでも再開発資金を捻出する都合で僕らが近隣を見下ろすためではない。地元の町会とはずっと仲良くしたかったので、せめて上層階に入居するのはやめようと決めたんです」理事長は、二〇年間大手デベロッパーに勤務し、再開発に携わった経験を持つ。二三歳で初めてマンションを購入し、三回買い換えている。
[参考サイトのご紹介]
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世界の酸いも甘いも熟知する。まさか祖父の代から暮らしてきた人形町の路地裏の実家が「再開発に当たっちゃう」とは夢にも思っていなかった。八七世帯の調整役に指名されたとき、理事長は地権者たちにマンションの何たるかを説明しなければならなかった。小さいながらも、おのおの戸建てで暮らしてきた。家族同然のつき合いとはいえ、地べたも屋根も別々だ。資産の管理は勝手にやってきた。それが巨大な『ひとつ屋根の下』に入るのである。理事長が述懐する。「所有権者の方々にマンションは、いい立地、いい建物、いい管理の三つが揃わなきゃダメだと言いました。幸い人形町は立地がいいけど、地元との交流もなく、孤立したらよさを生かせない。建物は大手ゼネコンが技術を駆使して造ってくれた。でも、いい管理で維持しなくては価値は下落します。ぜんぶ、じつはコミュニティーづくりにかかっているんです。コミュニティーが最も大切なのです。八年曲にデベロッパーを辞めて不動産関連のコンサルタントをしていますが、マンション生活のいい面も、冷たい面も知っています。管理組合についても、一般の方より情報がある。再開発の税金のうまみとか、実体験で知っている。あらゆる面を考えてね、近隣との関係も含めたコミュニティーがマンションの価値を左右します。居住者がエレベーターで挨拶しあうのは、当然のこと。防災や防犯はコミュニティーづくりの核になるのです」