一九九四年のことである。さすがにバブルが崩壊したことは、日本中の誰もが実感していた。だがこういう時こそ不動産は買い時だ、と私は考えたのだ。幸い私はダブルの時代に、それがバブルであることをハッキリと認識していた。いっさいバブル踊りの輪に参加せずに来たので、そこそこの蓄えができていた。パズルがもっとも激しく燃え上がり、急激に燃え尽きてしまったリゾートマンションは、軒並み五分の一、あるいは10分の一に値下がりし、それでも買い手もない状態だったから、選び放題になったのである。
[参考]
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そこで結局選んだのが、まるで廃墟のように荒れ果てていた湖畔のリゾートマンションの一部屋だったのだ。競売でも買い手が付かず、最低入札価格で先着順に買えるという状態で放置されていた物件を、少なくとも立地だけは最高の場所だと思ったので、私は買うことにしたのである。買ってはみたものの、マンションの理事会も機能しておらず、壁はヒビ割れ、階段はサビでボロボロ。そして二部屋目。これを買ったのは二〇〇〇年のことだ。当時、私はある月刊誌に連載ページを持っていた。私自身、あまり常識をわきまえない人間だとは思うが、この担当編集者もけっこう変かった人間で、自分でボロアパートを丸ごと一棟買いして、そこに住みながら自力でリフォームしたりするという、私から見ても非常にユニークな人だった。その彼が、競売物件の買い方について記事を作るのはどうだろうか、と言い出したのである。