確かに、実験で「合板を貼った木質パネル」がいかに強力であるかは理解できました。しかし、私にはいくつかの疑問がなお残りました。まず、単板を重ね合わせて接着した「厚さ四ミリの合板」に、これほどの水平力に耐えうる力がなぜあるのかという疑問。そして、個々の「木質パネル」が強くても、それがそのまま「建物の強さ」にはならないのではという疑問です。こう説明しました。「合板を両面に貼った壁がなぜ横の力に強いのか」については、パネルの内部に芯材が入っており、両面に重ねた合板を接着剤で芯材と固定しているからだと説明しました。加えて、数枚の合板パネルを接着して一体化していることも強さを生み出す要素になっているとも続けました。これに対して、在来木造住宅の「筋交い入り壁」もある程度の強さを持っていますが、筋交いは上部と下部で柱に固定してあるだけです。いわば「点」で一枚の壁を構成する構造になっているので、それほどの「強さ」は確保できないというのです。また、「耐力壁の強さが建物の強さにはならないのではないか」という疑問には、「個々の耐力壁が重要であることに変わりはありませんが、「家の強さ」は、建物全体にかかる水平力にバランスよく対抗することで生み出されます。「住宅の耐震性」を高いレベルで確保するためには壁の強度を保ちながら、かつ有効に壁を配置することこそ最も大切なのです」と答えてくれました。二階建ての場合、地震の「揺れ」は二階のほうにより強く働きます。ムチと同じ理屈と考えればいいのでしょうが、この「揺れ」は当然、各所の重量とも密接に関係してきます。そのあたりを加味しながら「建物の限外耐力計算」をすることが重要になってくるわけです。「今のところ住宅業界で限界耐力計算をやっているのは某建設会社だけだと思います」と、少し自慢げに話しました。衣・食・住というように、住まいは生活を構成する重要な要素であり、自然の脅威から人間の生命と財産を守り、暮らしにくつろぎと安らぎをもたらす大きな使命を担っています。しかし、ひとたび地震など外からの力によって「安全性」が損なわれると、住宅は「凶器」に豹変します。その「住宅の強さ」に対し、誤解しているところが、私たちにはまだたくさんあるようです。
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